助動詞とは、主語と動詞の間に入って、動詞に意味を付け加える言葉のこと。
助動詞を使うことで、事実そのものだけではなく
- できる
- ありえる
- するべき
- しなければならない
- かもしれない
のような話し手個人の心理(考えや判断)をあらわすことができる。
助動詞を使う時のポイント
助動詞を使う時のお約束は、
- 動詞の前に置かれる(疑問文は別)
- 助動詞とは別に動詞も必要
- 助動詞の後ろの動詞は必ず原形になる。
- 過去形の場合は動詞ではなく助動詞を過去形にする
- 助動詞の過去形は過去をあらわすとは限らない
- 2つの助動詞を続けて使うことはできない
の6つ。
助動詞は動詞の前に置かれる
助動詞の基本的な定位置は『動詞の前』
わたしはテニスができる。
ただ、疑問文の場合は、助動詞が前にくる。
(助動詞以外の疑問文と同じカタチなので難しく考えなくてOK!)
あなたはテニスができますか?
助動詞とは別に動詞も必要
助動詞は、あくまで動詞を助けるだけなので動詞そのものにはなれない。
なので、助動詞を使う文でも、助動詞とは別に動詞が必要。
◎I can play tennis.
助動詞の後ろの動詞は『原形』
助動詞の後ろの動詞はいつでも原形。
3人称単数現在形(-s)でも、過去形でも、動詞自体は『原形』になる。
彼女はテニスをする。
【助動詞あり】She can play tennis.
彼女はテニスができる。
また、be動詞(is,am,are)は『be』になる。
(be動詞の原形はすべてbeのため)
彼女は可愛い。
She may be cute.
彼女は可愛いかもしれない。
過去形は助動詞を過去形にする
過去のことをあらわしたい場合は、動詞ではなく助動詞を過去形にする。
彼女は5歳の時にテニスをした。
She could play tennis at five.
彼女は5歳でテニスができた。
疑問文の時も、そのまま助動詞が『did』の代わりをしてくれる。
彼女は5歳でテニスができましたか?
助動詞の過去形は過去をあらわすとは限らない
ただし、助動詞の過去形がすべて過去のことをあらわしているわけではない。
控えめに物を言いたい時にも助動詞の過去形が使われるので、『過去形=過去の話』だと思い込まないこと。
(詳しくは後述)
2つの助動詞を続けて使うことはできない
助動詞を2つ使うと意味がぶつかりあってしまうため、2つ続けて使うことはできない。
なので、
「しなくてはいけない(must)かもしれない(may)」
のように、助動詞っぽい言葉を連続で使いたい場合には、助動詞と似た意味を持っているフレーズに置き換える必要がある。
◎I may have to~(しなくてはいけないかも知れない)
基本は、この助動詞と似たフレーズは助動詞と同じように使われるが
- 普通の助動詞は『主観的な気持ち』
- 助動詞に似たフレーズは『客観的な表現』
といったニュアンスの違いがある。
do/does/didも助動詞の1種
ちなみに、今まで一般動詞を使う時に補助としてお世話になっていた
- do
- does
- did
も助動詞の一種なので、他の助動詞と一緒には使わない。
絶対に覚えておきたい5つの助動詞
助動詞の中でも使用頻度が多く、絶対に覚えておきたいのが
- can
- must
- may
- will
- should
の5つ。
can(潜在)
基本イメージ | 潜在 |
否定形 | can not (can’t) |
過去形 | could (否定形:couldn’t) |
言い換え | be able to~(できる) |
canの基本は『できる』
中でも、
- 潜在的にできる能力を秘めている(~できる)
- 潜在的にする自由がある(~していい)
- 潜在的に可能性がある(~しうる、~可能性がある)
といった『潜在』の意味を秘めている。
~できる(可能)
わたしはテニスができる。
canの最も一般的な使い方。
「わたしは○○ができます」と、実際にできる、できないにフォーカスした使い方をされることが多いが、canは「潜在的にできる」という意味を持った単語なので、
(あなたならできる)
のように、実際にできるかどうかは別として「潜在的にあなたはそれができるだけの力を持っている」という時にも使われる。
また、「できる!」と言い切るのではなく、「できると思います」くらいのニュアンスで「できる」と言いたい時は『could』を使うと、控え目な表現になる。
わたしはウェディングケーキを作ることができます。
(確信を持っている)
I could make a wedding cake.
わたしはウェディングケーキを作ることができます。
(たぶん能力的にできるとは思います、くらいのニュアンス)
canの言い換え表現『be able to~』
『be able to~』が、同じように「できる」として使われるが、canを使うのが普通。
be able to~は、
「~できる(can)だろう(will)」のように助動詞を連続して使うような場面で
~できるだろう
といった感じで使う。
~できた(可能の過去形)
彼女は5歳でテニスができた。
canの過去形couldを使った「~できた」は単に「できた」というより、「~する能力があった」という潜在的な能力をあらわしている。
なので単に、
- 過去の1回の動作
- 能力的な話ではない
状態で「彼女は5歳でテニスができた」を言いたい時は、
と、『be able to~』の過去形を使う。
~していい(許可)
それを使っても良いですよ。(許可)
また、疑問文にすると、同じように許可を求める文になる。
- Can I~?(~しても良いですか?)
- Can I have~?(~をください)
相手に許可を求める文はいくつかあるが、中でも『Can I~?』の形は
- 話し言葉として一般的
- フレンドリー
な尋ね方で、友達間や気軽な場面でよく使われる。
使ってもいいですか?
また、Can I~は「~しましょうか」と相手に何かを申し出る時にも使うことができる。
あなたのバッグを運びましょうか?
~をしてくれませんか?(依頼)
その本を貸してくれませんか?
Can you~?の形で、相手に依頼をする文になる。
Could you~?の形にすることで、より丁寧な依頼の文になる。
その本を貸してくれませんか?
Could you lend me the book?
その本を貸していただけませんか?
~しうる、~の可能性がある(推量)
彼女の話が本当の可能性はある。
このように、canは『(潜在的な)可能性』を暗示することもできる。
この可能性を示すcanは『can be~』という形でよく登場する。
「なぜここでcan?」と思ったら一度『可能性』を疑ってみると良い。
また、控えめ表現のcouldを使うことで、「~かもしれない(可能性)」という意味にもなる。
彼女の話が本当の可能性は(理論的に考えて)ある。
Her story could be true.
彼女の話は本当かもしれない(話し手の気持ち、それも可能性としてあるかもしれない)
可能性の否定・疑問
この『潜在』が転じてcanを使った否定文・疑問文は、とても強い否定や疑問になる。
要は
「そんなはずがない(可能性としてありえない)」
といった潜在的な可能性すらも否定や疑問視することになるから。
彼女の話が本当のはずがない。
彼女の話は本当なの?(可能性としてありえなくない?)
must(圧力)
基本イメージ | 圧力 |
否定形 | must not (mustn’t) |
過去形 | – |
言い換え表現 | have[has] to~ |
mustの基本は
- ~しなければならない(義務)
- ~に違いない(確信)
中でも、
- しなくてはいけないという義務感による圧力(~しなければならない)
- それ以外は考えられない、そうではなくてはおかしい、という圧力(~に違いない)
といった強い『圧力』を感じさせる。
~しなければならない(義務)
あなたは英語を勉強しなければならない。
形こそ命令文ではないが、命令文と同じくらいの強さを持っている。
また、must notという否定文になると「~してはいけない」という禁止の表現になる。
こちらも命令文と同じくらい強い圧力の『禁止』
ちなみに、この「~しなければいけない」が転じて『強いオススメ』として使われることもある。
一生に一度は京都に行かないと!
(行かないなんて損!絶対に行かなければいけない!といった強いオススメ)
mustの言い換え表現『have[has] to~』
mustの言い換え表現として使われるのが『have[has] to~』
発音は
- 【基本】have to(ハフ・トゥ)
- 【3人称単数】has to(ハス・トゥ)
- 【過去形】had to(ハッ・トゥ)
といった感じ。
mustよりも客観的な必然性や必要性が高まっているのが特徴。
あなたは英語を勉強しなくてはいけない。
You have to study English.
(テストがあるから)あなたは英語を勉強しなくてはいけない。
日常会話では、mustよりもhave to~を使う機会の方が多い。
基本はmustと同じ意味だが、否定文にした場合は意味が変わってくるので注意。
あなたは英語を勉強してはいけません。
You don’t have to study English.
あなたは英語を勉強する必要はありません。
~に違いない(確信)
彼女の話は本当に違いない。
それ以外は考えられない、そうではなくてはおかしい、という圧力を感じられるほどの確信がmustには込められている。
may(上から目線)
基本イメージ | 上から目線 |
否定形 | may not |
過去形 | might |
mayの基本は
- ~してよい(許可)
- ~かもしれない(推量)
中でも
- 上が下へ許可を与える(~してよい)
- 転じて下が上へ許可を求める(~しても良いですか?)
- 上が許可しない(~してはいけない)
- きっと50%くらいの確率だろう(~かもしれない)
といったどことなく上から目線を感じられる単語。
また、上から目線を感じつつの
- ~であってもかまわない
- ~であってもおかしくない
辺りがニュアンスとしては一番近い単語。
~してよい(許可)
座っても良いですよ。
単なる許可というよりも堅苦しいところで、上の者が下の者に許可を与えるといったイメージ。
~しても良いですか?(許可)
mayが上の者が下の者に許可を与えるというのが転じて、
- May I~?(~しても良いですか?)
は、上の者に許可を求める丁寧な表現となる。(下から目線)
May I~?への返答が、Yes,you may.(許可します)というような上から目線になるので、May I~?で聞けば、下からお伺いを立てているような感じになるということ。
身近なところだとレストランのオーダーなどで使われる。
ご注文をお伺いしてもよろしいですか?
~してはいけない(禁止)
座ってはいけません。
may notは「禁じられている、許可しない」といった上から目線での禁止。
~かもしれない(推量)
明日は雨かもしれない。
mayのあらわす「かも」はおおよそ50%程度。
この推量だけイマイチ「上から目線」を感じにくいが、イメージとしては物事を上から見て「かもしれない」と50%くらいの判断をくだしている感じ。
mightを使うと、mayよりも少し可能性が低い(自信が50%以下)のイメージになる。
明日は(50%くらいの確率で)雨かもしれない。
It might be rainy tomorrow.
明日は(もしかしたら)雨かもしれない。
will(意志・意向)
基本イメージ | 意志・意向 |
否定形 | will not (won’t) |
過去形 | would |
willの基本は
- ~する(つもり)(意志)
- ~だろう(予測)
中でも
- 突発的で細かい計画の立っていない未来の話(意志)
- 相手の意志を尋ねる(依頼)
- 実際に何かが起こったわけではないけれど、話し手は確信している(予測)
といった『意志・意向』を感じさせる。
ちなみに、willは「~つもり」「~だろう」という訳のせいで「自信がなさそう」な印象を受けるが、実際は、「必ず~するつもり」「100%~だろう」くらいの強い言葉。
~するつもり(意志)
ベストを尽くすつもりです。
話し手の意志を明確にしている。
短縮形にすると
- I’ll
- You’ll
のような形になる。
また、willを否定形(won’t)にすると「どうしても~しようとしない」という拒絶の意味をあらわす。
彼女はどうしてもニンジンを食べようとしない。
強い意志の元、拒絶をしているイメージ。
~してくれませんか?(依頼)
窓を閉めてくれませんか?
相手の『意志』を尋ねたり、依頼をする文。
willをwouldにすると少し丁寧な印象になる。
窓を閉めていただけませんか?
willがもともと『意志』を含んだ単語なので、
窓を閉めてくれませんか?(そうしてくれるつもりはありますか?)
同じような依頼の文であるcanの場合だと
窓を閉めてくれませんか?(そうすることは可能ですか?)
といった違いがある。
~だろう(予測)
明日は晴れるだろう。
実際にまだ晴れると決まったわけではないけれど、状況からして晴れるだろう、と自信を持って確信しているイメージ。
よく~する(習慣)
また、この予測(~だろう)の延長線上にwillの持つ『習慣・法則』がある。
- そういうものだ
- こういう場合は、~するものだ
といった感じで、予測から法則・習慣が見えてくるというイメージ。
事故はどうしても起きるものだ。
男の子はどこまでも男の子だ。
should(当然)
基本イメージ | 当然 |
否定形 | should not (shouldn’t) |
過去形 | should自体がshallの過去形 |
shouldの基本は
- ~すべきである(義務)
- ~はず(確信)
で、『当然』という意味合いを持っている。
ちなみに、shouldはもともとshallの過去形。
ただ、shallは
- Shall I~?(~しましょうか?)
- Shall we~?(一緒に~しましょうよ)
くらいしか日常会話では使われず、shouldの方がメジャー。
~すべきである(義務・アドバイス)
君はパートナーを信じるべきだよ。
shouldは日本語訳的には「~すべきである」とされるが、mustのように「しなければならない」といった強い強制や命令の意味合いはなく
「した方がいいよ」
くらいのアドバイス的なイメージになる。
難しく考えずに、shouldはあくまで『shallの過去形』だと覚えておけばOK。
couldやmight,wouldと同じく過去形になった分、義務である「~すべき」がマイルドな表現になっている。
~はず(確信)
彼女は時間に間に合うはずだ。
きっと、そのはず。
彼女なら、時間内にくるのは当然だろう、という確信をしている。
それを表現的に強くは言わず「彼女は時間に間に合うはずだ」と、柔らかくあらわしているイメージ。