冠詞とは、名詞の前につける
- a/an(不定冠詞)
- the(定冠詞)
のこと。
同じ名詞でも、このa/anやtheを使い分けたり、冠詞をつけない(無冠詞)ことで違ったニュアンスを持つことになる。
→「本というものは~」という感じで本の役割に焦点を当てるイメージ
a book.(不定冠詞)
→何の本のことかわからないけど、とりあえず「1冊の本」というイメージ
the book.(定冠詞)
→明確な「1冊の本」というイメージ
ちなみに、冠詞を含む『限定詞(名詞に情報を与える詞)』は2つ続けて使うことはできない。
×this a book.
◎my book.
◎this is a book.
不定冠詞『a/an』
不定冠詞『a/an』は、『数えられる名詞(可算名詞)』の『単数形』と結びつく。
『a』の後ろにくる名詞が『母音(a,i,u,e,o)』で始まる場合は『an』
ただし、この『母音で始まる』というのはあくまで『発音の話』なところに注意。
- 名詞が母音ではじまっていなくても、発音が母音で始まるのなら『an』
- 名詞が母音ではじまっていても、発音が母音じゃないなら『a』
◎a university.
名詞の前に『a/an』を使うのは
- 数えられる名詞が話にはじめて出てきた時(単数の場合のみ)
- どれでもいいからとにかく1つ
が基本。
数えられる名詞が話にはじめて出てきた時
『a/an』の基本イメージは
- 特定はできないけど、とにかく1つ
- たくさん数があるの中の1つ
なので、
会話でも文章でも、聞いている人や読んでいる人が『特定のものをイメージできない状態』の場合は『a/an』が使われる。
→聞いている人や、読んでいる人は「何の本かわからないけど、昨日1冊本を読んだんだな」と感じる状態。
また、1度会話に出てきた名詞については、聞いている人や読んでいる人は「それについて(特定のもの)の話をしている」と認識できるので、『a』から入って『the』で話を広げていくのが基本。
→昨日1冊本を読んだ。その本(昨日読んだ本)は面白かった。
どれでもいいからとにかく1つ
また、話している人自身が
- とくにこだわりはないけど(特定のものを思い浮かべず)1つ
という場合も『a/an』が使われる。
→(何でもいいけど、特に決まってないけど)1冊本を読む。
あくまで単数の時に使うことを忘れない!
不定冠詞『a/an』は『1つの』というイメージを持っているので、複数の話をしている時には『a/an』はつけない!
◎I read two books.
つい流れで口から出てしまったり、ペンを走らせてしまうこともあるので注意。
the(定冠詞)
定冠詞『the』は、具体的な1つのモノ(1つのグループ)をあらわす時に使う。
『the』の後ろにくる名詞が『母音(a,i,u,e,o)』で始まる場合は『the(ザ)』ではなく『the(ジ)』に近い発音になる。
『the』を使う場面としては
- すでに話に出た名詞の話をする時
- 状況からして何を指しているかわかる時
- 内容からして特定のモノが思い浮かぶ時
- そもそも1つしかないモノ、人を指す時
- みんなに共通のイメージが湧く時
が基本。
共通しているのは『間違いなくこれ!』というのをお互いが認識できるものが『the』
すでに話に出た名詞の話をする時
話の中で1度登場している名詞は、お互いが「それの話をしているんだな」と間違いなく認識できるので『the』が使われる。
状況からして何を指しているかわかる時
例えば、ちょうど教室に入ってきた人や、ドアの近くに立っている人に対して
と言う時には
といった感じで『the』が使われる。
これは、状況からして「どのドアを閉めて欲しいのか?」がわかるから。(ドアを特定できる)
同じように駅の場所を聞きたい時にも特定の『the』が使われる。
これはお互いに「探している駅=1番近い駅」と感覚で特定することができるから。
内容からして特定のモノが思い浮かぶ時
文の流れからして何を指しているかがわかる時にも『the』が使われる。
イメージとしては
(私は本を持っています。(その本の)作家は有名です)
こんな感じ。
基本は、最初のすでに話に出た名詞の話をする時と同じで(a/anではじめてtheで話を広げる)それの応用。
『作家(writer)』自体ははじめて出てくる名詞だが、先に本の話をしているので、その後に出てくる作家=その本の作家と特定できるため『the』が使われる。
そもそも1つしかないモノ、人を指す時
世界に1つしかないモノ、1人しかいない人を指す時も必然的に特定できるため『the』が使われる。
- the earth.(地球)
- the sun.(太陽)
- the moon.(月)
また、first(はじめて)やonly(唯一の)といった1つに特定されるものを指す時も『the』になる。
(これはわたしが初めて読んだ本です。)
ただ、『the』はあくまで『特定できるモノ・人』に使う。
firstやonlyは『はじめて』『唯一』といった意味を持っているため、『the』との相性が良く、使われる場面が多いが、
×first = the
×only = the
という意味ではない。
たとえば、
He is the only child in the family.(彼は家族の中で唯一の子供です。)
1つ目は、『一人っ子』をあらわすために『only』が使われているが、一人っ子自体は世の中にたくさんいる(一人っ子=話に出てきた彼と特定することはできない)ので、『an』
2つ目は、同じように『一人っ子』でも『その家族の話』に限定されているため、その家族の中の唯一の子供=『彼』と特定できるので『the』になる。
みんなに共通のイメージが湧く時
- play the piano.(ピアノを弾いているイメージ)
- the town.(都会のイメージ)
- the young.(若者のイメージ)
- the rich.(お金持ちのイメージ)
といった感じで、みんなが共通したイメージを持つものの場合も『the』が使われる。
楽器に『the』がつくことが多いのは、楽器=弾いている姿をみんなが共通してイメージできるから。
また、文脈(play)的に楽器に『the』がつくことが多いだけで『a/an』が使われないというわけではない。
I buy a piano.(わたしはピアノを買います)
といった感じで、『a/an』は使われる。
楽器に『the』がつくのはあくまで皆に共通のイメージが湧く場面だけ。
同じように、『young』も文脈的に誰を指しているかわからない中で急に出てきた『the young』は「イメージとしての若者」
今の日本なら「うぇーい!!」って感じの若者とか。
「最近の若いやつは…」
みたいな感じで言われる時にイメージされる若者を『the young』としている。
逆に
みたいな感じで、若者を1人の個人として見ている時かつ話に初めて出てくる時は『the』ではなく『a』になる。
(もちろん、その後話が続くようなら『the』になるが、ここに『一般的な若者のイメージ』は含まれていない)
無冠詞(aやtheがつかない)
無冠詞は
- 境界がない
- 何かを特定(the)するわけでも、1つと限定(a/an)するわけでもなく、ふんわりと全体や機能に焦点を当てている
時に使われる。
境界がない
何をもって『1つ』と定義するかが曖昧なものは、基本的に冠詞をつけられない。
なので、不可算名詞(数えられない名詞)は基本的に無冠詞になる。

ふんわり全体をあらわす
- theは特定
- a/anは不特定だが1つに焦点を当てている
それ以外なら基本的に無冠詞になる。
例えば、猫好きの人の場合、ある1匹や特定の猫が好きと言うより「猫という生き物そのものが好き!」なので
という感じで『無冠詞』でふんわり全体をあらわすのが基本。
冠詞をつけてしまうと、
I like the cat.(私はある特定の猫が好きです)
となってしまって、猫そのものが好きというより「条件付きで猫が好き」になってしまう。
また、同じように特定や1つに限定せずその名詞の持つ
- 機能
- 役割
- 性質
を説明する時にも無冠詞になる。
例えば
この時のbedは、ある1つのbedでも特定のbedでもなく、単に『寝る場所』としてのbedなので無冠詞になる。
同じように
も建物としての学校や、ある学校を指しているわけではなく『勉強する場所』としてのschoolなので無冠詞。
逆に、1つの学校の話をしていたり、学校という建物の話をしたい場合には『a』がつき、特定の学校を指す時には『the』が使われる。
要は、具体的な話ではなく、ぼんやり全体の話をするなら無冠詞というイメージ。
a/an,the,無冠詞の使い分けまとめ
- a/an(不定冠詞)→数えられる名詞の単数形。特定できないけどとにかく1つ
- the(定冠詞)→具体的に特定・イメージできるものに対して
- 無冠詞→ぼんやりと全体を指す時や、役割、機能、性質に注目する時。